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英語のまま理解できる「直聞&直読直解法」

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テキスト2022後期_R

センター試験から大学入学共通テストになって英語はリスニング100点+リーディング100点の合計200点になり、リスニングテストの配点の比率が上がりました。大学入試だけでなく高校入試も、全国の公立高校の入試においてリスニングテストの配点の比率は年々アップしています。
なぜだか知っていますか?これは実用的な英語力の習得のために、文部科学省が本気で英語教育の改革に乗り出しているからです。国が従来の使えない「文法訳読法」から脱却して、将来使える本格的な英語力を習得できる「直聞&直読直解法」に切り換えようとしているからなのです。
明治時代の初めにわが国の英語教育には「正則教授法(=直読直解法)」と「変則教授法(=訳読法)」の2種類の指導法がありました。最初の官立大学である東京大学では「正則教授法」、慶応や早稲田などの私学では「変則教授法」で指導されていました。
大学教育の伝統がなかった日本に大学を作るために、英米から教授陣を招いて官立の東京大学が設置されました。そのため東京大学で学ぶには英語を使える必要があったのです。だから当時、東京大学に入るために正則英語(=直読直解法)を指導する塾がありました。この塾で学んだ人たちは、とても英語が達者であるという記録も残されています。
一方、慶応や早稲田などの私学には英語のテキストはありましたが、英米人ではなく日本人が教えていました。それで変則英語(=訳読法)で十分間に合ってたという事情がありました。私学では英語を話す必要はなかったのです。
ところが、明治時代の後期に東京大学に日本人の教授が誕生しました。またテキストの翻訳に成功しました。(これは快挙でした!なぜならアジアの多くの国々では大学レベルの高度な教育を母国語ではできず、英語で実施しているからです。このことが現代に皮肉な結果を招くことになるのですが・・・)以後、東京大学でも正則英語は必要なくなり、だんだん変則英語に切り換わっていきました。
昭和に入り太平洋戦争が始まると敵国の言語である英語の使用も教育も禁止されていきました。長きにわたって英語教育が途絶えた結果、「正則教授法」や「変則教授法」という言葉すら忘れ去られて、圧倒的に多かった訳読法の先生たちによって戦後の英語教育が復活していきます。
昭和39年の最初の東京オリンピック、45年の大阪万国博覧会、47年の札幌冬季オリンピックと国際的なイベントが続く中、英会話ブームが起きます。一方で、中学・高校と6年間も英語を勉強しているのになぜ英語が話せないのかということも度々指摘されるようになります。昨年の東京オリンピックや2025年に開催予定の大阪万博など、近年も国際的イベントが続きますが同様です。
皮肉なことに、明治時代の後期に快挙だったはずの翻訳の成功が、逆にグローバル時代を迎えた今の日本を苦しめています。英語を話せない日本人は、能力があるにも関わらず多くの国際会議であまり発言ができませんまた日本にある多国籍企業では英語を社内公用語にしていますが、日本人の社員は社内会議で書類を読むのが遅くて支障が出たり、十分な発言があまりできないという指摘もあります。
日本人の英語力は国際的にみてとても低いのが現状です。英語能力のベンチマーク(指標)として知られる「EF EPI英語能力指数」2021年版 世界ランキングでは、112の国や地域の中で78位です。大学教育を英語で実施しているアジア各国の方が上位にいます。日本は英語力が「低い」グループにいて、具体的には「同僚とスモールトークができる」程度なのです。先進国の中では断トツで最下位です。
そして現在、従来の伝統的な「文法訳読法」では話せるようにはならないということがだんだん分かってきて、実用的な「直聞&直読直解法」に切り換えようということで、文部科学省の主導で大学入試や高校入試の改革が行われリスニングテストの比重が高まったのです。そういうわけで、センター試験が共通テストに代わったり、公立高校の入試でリスニングの比重が高まりました。
しかし、英語教育の現場ではあまり改革が進まず、いまだに「文法訳読法」が主流なのです。高校生が英語を理解するスピードは約75wpmです。(※wpmとは words per minute の略で、1分間に理解できる単語数のこと。)もはや文法訳読法では大学入試や高校入試は戦えないのです。このことを生徒本人や保護者の方々はご存知でしたか?
共通テストのリスニングは約140wpmで放送されています。また、リーディングの総単語数は約6,000語あります。75wpmでは1回読むだけで制限時間の80分を要し問題を解くことができません。公立高校の入試もほぼ同様です。これでは「文法訳読法」で指導された中学生や高校生たちにどうやって入試を戦えと言うのですか?
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